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2月17日・祈年祭とは?国家と暮らしを結ぶ、はじまりの祭りです。

  • 執筆者の写真: NAKAJIMA_setubi
    NAKAJIMA_setubi
  • 2 日前
  • 読了時間: 4分

毎年2月17日、全国の神社で「祈年祭(きねんさい・としごいのまつり)」が斎行されます。華やかな祭りというよりは、厳粛で静かな神事。しかしその意味はとても大きく、日本という国の成り立ちや、人々の暮らしと深く結びついています。

祈年祭は、その年の五穀豊穣、国家の安泰、そして国民の幸福を祈る春の大祭です。古来より日本は農耕を基盤としてきた国。お米をはじめとする穀物の実りは、そのまま人々の命や社会の安定に直結していました。だからこそ、春のはじまりにあたり「今年も実り豊かな年になりますように」と神々に祈ることは、国家的な意味を持つ重要な行事だったのです。


祈年祭の由来とは?

祈年祭の歴史は非常に古く、律令国家の時代にさかのぼります。『延喜式』にも記載があり、朝廷においても国家的祭祀として執り行われてきました。天皇自らが五穀豊穣を祈る儀式を行い、全国の神社でも同日に祭りが斎行されるという、まさに“国をあげての祈り”だったのです。現在も、東京・千代田区に鎮座する皇居では宮中祭祀として祈年祭が行われています。また、全国の総本社である伊勢神宮をはじめ、各地の神社でも同日に神事が行われます。この祭りの別名「としごいのまつり」は、「年(とし)」=稲の実りを、「こい(乞い)」=願い求める、という意味に由来します。つまり“その年の実りを乞い願う祭り”という、実に素朴で切実な祈りが込められているのです。


五穀豊穣とは?

一般的に米・麦・粟・黍・豆などを指します。これらは日本人の主食・副食を支えてきた大切な作物です。現代に生きる私たちは、スーパーに行けば季節を問わず食材を手に入れることができます。しかし、ほんの百数十年前まで、人々は天候や自然災害に大きく左右される生活を送っていました。干ばつや長雨、台風や冷害は、そのまま飢饉へとつながります。

だからこそ、春のはじまりに神々へ祈ることは、人々の生活を守るための重要な行為でした。祈年祭は、単なる宗教行事ではなく、生活そのものを支える社会的な儀式だったのです。


国家安泰と国民の幸せ

祈年祭では、五穀豊穣だけでなく「国家安泰」「国民の幸せ」も祈願されます。農作物の実りが豊かであれば、争いは減り、社会は安定します。食は国家の基盤。その考え方は、古代から現代まで変わりません。国家安泰を祈る祭りといえば、秋に行われる「新嘗祭(にいなめさい)」が有名です。新嘗祭が“収穫への感謝”であるのに対し、祈年祭は“実りを願う”祭り。いわば一年の始まりと終わりになります。

春に祈り、秋に感謝する。この循環こそ、日本人の自然観・宗教観の象徴ですね。


現代の私たちは祈年祭をどのように捉えるのが良いのでしょうか?

現在、祈年祭は多くの神社で神職のみで厳かに斎行されることが多く、一般参列を大々的に募る祭りではありません。そのため、存在を知らない人も少なくありません。しかし、その意味を知ると、この祭りは決して遠いものではないと気づきます。食べ物をいただくこと。家族が健康であること。社会が平穏であること。これらすべてが祈年祭の願いと重なります。私たち一人ひとりの生活に直結する祈りですね。

日本の祭りは、派手なものもあれば、祈年祭のように静かで厳粛なものもあります。けれども共通しているのは、「自然とともに生きる」という感覚です。春を迎える前に祈りを捧げる。その姿勢は、自然を畏れ、感謝し、共に歩もうとする心のあらわれです。テクノロジーが進み、生活が便利になった現代でも、天候に左右される農業は続いています。地震や豪雨といった自然災害も絶えません。だからこそ、祈年祭が持つ意味は決して過去のものではなく、むしろ今だからこそ再確認すべき価値なのかもしれませんね。


おわりに―春のはじまりに、願いをこめて

2月17日の祈年祭は、春の訪れを告げる静かな節目の日です。

派手な行事ではなくても、日本という国の土台を支えてきた大切な祭祀。五穀豊穣、国家安泰、そして国民一人ひとりの幸せを祈るこの祭りは、何百年ものあいだ受け継がれてきました。今年もまた、全国の神社で神職が祝詞を奏上し、神々に祈りを捧げます。その祈りの連なりの中に、私たちの暮らしもあります。日々の食事に感謝し、家族や社会の平穏を願うこと。それこそが、祈年祭の精神を今に生かすことなのではないでしょうか。春は、もうすぐそこまで来ています。今年という一年が、実り豊かで穏やかな年となりますように。

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