心を清め、季節をくぐる——夏越しの大祓いは茅の輪をくぐりぬけ「半年の厄」を脱ぎ捨てる日|日本人のこころに宿る夏越しの祈り
- NAKAJIMA_setubi
- 6月30日
- 読了時間: 3分

今年も早いもので、6ヶ月が過ぎ半年が終わろうとしています。「夏越しの大祓(なごしのおおはらえ)」は、1年の折り返しにあたる 6月末(新暦では6月30日) に行われる、日本の伝統的な神事です。上半期に知らず知らずに溜めてしまった 罪穢れ(つみけがれ)や災厄 を祓い清め、下半期を不安なく健康に過ごせるように と願う祈りの儀式です。
夏越の大祓とは? 大祓(おおはらえ)のはじまりは?
この「大祓(おおはらえ)」には、6月末の「夏越の大祓」と、12月末の「年越の大祓(としこしのおおはらえ)」がありますが、夏越しは1〜6月の半年間の身の穢れを祓うものであり、年越しは7〜12月の半年を祓うものです。
神話に基づく由来も深く、創始は 伊弉諾尊(いざなぎのみこと)が禊祓を行った故事 に遡ります。また、素戔嗚尊(すさのおのみこと) と蘇民将来(そみんしょうらい)の神話において、茅の輪(ちのわ)を腰に巻くことで疫病から逃れたという信仰から、茅の輪くぐりの風習も広まりました。
心身の穢(けが)れ、罪や過ちを祓(はら)い清める「大祓」の神事のことです。全国の多くの神社では、6月と12月の晦日に「大祓式」が行われます。
6月30日は、「夏夏越の大祓」12月31日は、「年越の大祓」とされています。6月30日に行われる夏越の大祓では、今年の前半を無事に過ごせたことに感謝するとともに、半年間の罪や穢れをお祓いし、残り半年も清らかな気持ちで過ごせるよう願う神事が行われるます。
茅の輪をくぐるとき、何を清めるのか?
茅の輪くぐり
茅(チガヤ)で作った直径数メートルの大きな輪を、「水無月の夏越の祓する人は、千歳の命延ぶといふなり」 と唱えつつ、八の字を描きながら3回くぐる のが一般的です。作法は、参道を進んでから茅の輪を左→右→左と三度くぐり、本殿へお詣りします 。
形代(人形)での穢れ祓い
紙や麻で作られた形代に 自身の名前・年齢を書き、身体を撫でたり息を吹きかけたりして穢れを移す。その後、川に流したりお焚き上げしたりして厄を祓い清めます。
まとめ
上半期の終わり、蒸し暑さが増しはじめる6月末。日々の忙しさの中で、私たちは知らず知らずに疲れや不安、さまざまな「穢れ」を心と体にまとってしまっているのかもしれません。そんなとき、静かに佇む神社の境内で、茅の輪をくぐり、形代に自分の想いを託す――そのひとつひとつの所作には、先人たちが千年以上守り続けてきた「祈り」が息づいています。心身のリセット、情報過多やストレスが多い現代、半年ごとに "デトックス" する意味は深いものがあります 。地域・神様とのつながり、氏神様に感謝し、地域との結びつきを再確認する機会になります。形代や茅の輪などの体験要素、参加型の儀式は、見学だけで終わらず、実際に体感しながら "清め" のプロセスを自分で行える貴重な体験だと思います。夏越しの大祓は、ただの儀式ではありません。それは、自分自身を見つめ直す時間であり、日々の営みに感謝し、これからを健やかに歩んでいくための再出発の瞬間です。古来から続く日本人の美意識と信仰のかたちが、今も私たちの心をそっと包んでくれる。6月30日、あなたも静かに足を運んでみませんか?きっとそこには、忘れかけていた「何か」と出会えるはずです。