「星の王子さまの日」に考える — 数字では測れない、仕事と人生の本質
- NAKAJIMA_setubi

- 6月29日
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本日、6月29日は、「星の王子さまの日」です。1900年6月29日、『星の王子さま』の作者アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリが、フランスのリヨンで生まれました。その誕生日を記念して、この日が「星の王子さまの日」として親しまれるようになったのです。
作品が世に出たのは1943年。サン=テグジュペリが第二次世界大戦中にアメリカへ亡命していた時期に書かれました。翌1944年、彼は偵察飛行中に消息を絶ち、44歳でその生涯を閉じます。薄い一冊の本と、謎めいた最期——それがこの作品をより神話的な存在にしているのかもしれません。今や世界300以上の言語・方言に翻訳され、累計2億冊以上が読まれたとされる『星の王子さま』。その誕生日である今日、大人になった私たちへのメッセージを改めて…
「大人は数字しか信じない」——これ、あなたの職場の話では?
物語の冒頭、語り手の「ぼく」はこんな嘆きを漏らします。大人たちは数字が好きだ。新しい友人ができたと話すと、年収や住所や職業を聞いてくる。家を見ても値段を聞く。バラの美しさには興味がない——。笑えないのは、これがそのまま現代のビジネス社会に当てはまりますね…。会議では「で、数字は?」と問われる。評価面談では「今期の成果を定量的に示してください」と言われる。プロジェクトの意義を語っても「ROIは?」と返ってくる。チームの雰囲気が良くなっても、それは評価指標に載らない。もちろん数字は大切ですが、ビジネスは結果であり、成果を可視化することは重要であることは確かです。しかし、数字に「なっていない」ものの中にこそ、組織の土台となるものが眠っていることを、私たちは薄々知っているはずです。信頼、心理的安全性、チームの一体感、誰かへの「ありがとう」——これらは、長期的に見れば組織を支える根っこになります。王子さまが気づかせてくれるのは、「見えないものを軽視するな」という警告です。
「なつく」こと——現代に欠けている絆のつくり方
物語の中でキツネは、王子さまに「なつかせてほしい」と頼みます。「なつく(apprivoiser)」とは、フランス語で「絆を結ぶ」こと。時間をかけて関係を育て、互いにとって特別な存在になること、と物語の中で説明されます。これを現代の職場やビジネスに置き換えると…
テレワークの普及、チャットツールでの短文コミュニケーション、プロジェクト単位での流動的なチーム編成——現代の働き方は効率的である反面、「なつく」時間を極端に削ってきました。同僚の名前は知っているけれど、どんな人生を歩んできたかは知らない。上司に相談できる雰囲気がない。新入社員がいつの間にか辞めていた——こうした職場の「絆の薄さ」は、まさに「なつく」時間を省いてきた結果とも言えます。絆は効率では作れません。ムダに見える雑談、仕事と関係ない話、一緒に失敗した経験——そういう「余白」の積み重ねの中でしか育まれないものです。キツネの言う「なつく」ことの価値を、私たちは今一度見直す必要があるのかもしれません。
「いちばんたいせつなことは、目に見えない」を仕事に活かす
物語のクライマックスでキツネが残す言葉——「心で見なくちゃ、ものごとはよく見えない。いちばんたいせつなことは、目に見えない」。
この言葉は、ビジネスの文脈でこう言い換えられるかもしれません。
「最も重要な経営資源は、貸借対照表に載らない」
顧客からの信頼、社員のモチベーション、ブランドへの共感、チームのカルチャー。
これらは財務諸表に現れないけれど、それが失われたとき、数字はあっという間に崩れます。逆に、目に見えないものを丁寧に育ててきた組織は、多少の逆境でも踏ん張れます。
個人レベルでも同じです。スキルや資格は履歴書に書けます。でも「あの人と仕事がしたい」と思われる人間的な魅力、「困ったときに助けてくれる」という信頼貯金、「一緒にいると前向きになれる」という存在感…。こういうものこそが、長いキャリアを支える本当の財産ではないのでは…と個人的に思います。
王子さまのメッセージを、今日から一つだけ
6月29日という日に、『星の王子さま』が私たち社会人に届けるメッセージをまとめるなら…
数字で測れないものにも、目を向けよう
絆は時間と余白の中でしか育たない
大切なものほど、見えにくい場所にある
と、いった感じですかね。難しいことは何もありません。今日一日、会議の数字の向こうにいる「人」を見る。チャットで済ますより、少し声をかけてみる。そんな小さな一歩が、あなたの仕事と人間関係を、少しずつ豊かにしていくはずです。
大人になっても、王子さまの目線を忘れずにいること…。それが、この日のいちばんのギフトかもしれませんね。


